母の墜落死。


それは、私には当然、受け入れ難い現実だった。


あの日の夜が過ぎ去れば、母は退院して、私たちと一緒に生活できたはずなのに……。


香川総合病院の香川医院長は、母の墜落死について、私にこう言った。


「本当に残念です。

あの日の夜中に、あんな事故が起きてしまうなんて……」


現場に駆けつけた警察は、私にこう言った。


「絹子さんの死に、事件性はないように思われます。

おそらく、事故死ではないかと思われるのですが……」


私は、彼らの話を呆然と聞いていた。


母の死は、本当に事故死なのだろうか?