週末の夜に、私たち家族三人がひとつのテーブルを囲み、食事を終えたとき、娘の百合子が私の顔を覗き込んだ。
「お母さん、最近、痩せたんじゃない?」
私は百合子の言葉に、一瞬、ドキリとしたが、にこりと笑って百合子に言った。
「そう?
百合ちゃんの気のせいじゃない?」
「そうかしら?
でも、やっぱり気のせいじゃないわ。
お母さん、ゲッソリと痩せたし、何か疲れてるみたい」
「百合ちゃん、そんなことないわ。
だってお母さん、少しも疲れてないもの」
「小夜子、俺も最近、気になってたんだ」
そう言って、夫の武士が私の顔を見つめた。
「ここ最近、小夜子の様子がいつもと違うって……。
何か悩み事でもあるの?」
私は、優しい武士の言葉に幸せを感じて、笑みを浮かべた。
「武士さん、私は悩み事なんて何もないわ」