「その女の人、またお見舞いに来るからって、言ってましたよ」


「また来るって?」


「だから私、その人に言ったんです。

寺田さんなら、明日、退院予定ですよって……」


上田は、田所光江と話して感じた違和感を思い出していた。


「そしたらその女の人、私にこう言ったんです。

明日、退院なの。それはめでたいわね。

私も退院前に、一度、寺田絹子さんに会わないとねって……」


絹子は上田からその言葉を聞いて、妙な胸騒ぎを覚えた。


田所光江と名乗った女性は、自分にどんな用事あるのだろうか?


真っ暗な空に稲光が走り、雷鳴が病院内に轟いた。