「寺田さん、それじゃ、明日の退院が待ち遠しいですね」


「ええ、本当に明日が待ち遠しいですね。

こんな気持ちは、いつ以来かしら?」


絹子はそう言って、若い看護師に笑顔を見せた。


「寺田さん、私、言い忘れてましたけど、さっき寺田さんの病室に、お見舞いにきた人がいたんですよ」


「私に、お見舞い?」


絹子はそう言って、窓から外に目をやった。


外はまだ昼間なのに暗く、嵐のような激しい雨が降り続いていた。


「こんな日に、いったい誰が来たのかしら?」


絹子は、そう言って首を傾げた。