絹子は、ゆっくりと目を開けて、病院の待合室に目を向けた。


長いこと続いた入院生活も今日で終わりだと思うと、待合室の見慣れた光景も愛おしく思えて、絹子は部屋中をゆっくりと見まわした。


明日からの自分には、今までになかった新しい生活がある。


自分は今のこの歳からでも、幸せになれるのかしら?


小夜子と武士と百合子と一緒に。


これから先の自分の生活を思うとき、絹子は年甲斐もなく、胸の高鳴りを感じずにはいられなかった。


薄暗かった自分の未来に明るい光が差して、早く自分の未来を覗き込みたくなる高揚感。


今までの自分の人生に、こんなときは一度もなかった。