私は母との電話を切り、ゆっくりとソファーに向かい、小さな庭が見える場所に座った。


相変わらず、横殴りの激しい雨が降っていて、私はそれを見ながら、子供の頃の私は雨の日の朝が嫌いだったなぁと、昔のことを思い返した。


雨の日の朝の新聞配達。


朝の冷たい雨に濡れながら、雨の日は、誰も新聞を読まなければいいのにと、私は思った。


クラスの友だちの顔がふいに思い浮かんで、どうして私だけが辛い思いをしているのだろうと思うと、私は泣きたくなった。


あの桜井由美は、雨の日の朝に、高級車で学校に送ってもらえるのに……。