私は目を覚まし、現実の世界に戻ってきたその後も、さっきまでの悪夢がただの夢ではないような気がして、部屋中を恐る恐る見渡した。
私の心臓はドクドクと大きな音を立て、鳴り止もうとはしなかったが、部屋の様子はいつもと変わらず、悪霊が入り込んでいるとは思えなかった。
私は夢の中で切られた頬を、指先でそっと撫でると、私の指先には血ではなく、べっとりとした汗がまとわりついた。
今のはただの夢なのだ。
私は大きく息を吐き、自分に言い聞かせた。
どんなにあの三人が、この世に未練を残していたとしても、あの三人は、もう死んだのだ。
立川早苗は十五年前に、野沢恵子は十三年前に、田所光江は十一年前に、私がこの手で殺している。