〈 目を閉じて私の未来を思うとき、私の未来には幸せだけがあるように思えたわ。

だって、私には武士さんがいたから。

彼が私を守ってくれるって言ったから 〉


他人の不幸せの上に築いてきた私の幸せ。


でも私は、少しも悪くない。


私は寺田小夜子と言う、みじめでかわいそうな女の子をどうしても幸せにしてあげたかったから……。


そうでなければ、あの子があまりにもかわいそうだったから……。