私は山村武士の登下校を、山村武士の休み時間を、山村武士の部活の練習を、知らず知らずに目で追っていた。


平凡な町の小娘が、憧れの王子様を見つめるように。


でも、毎日、山村武士の姿を見つめている私には、どうしても気づかなければならない事実が一つあった。


それは山村武士のそばに、いつの間にかあの桜井由美がいるという事実である。


私は、山村武士と桜井由美が楽しそうに話している姿を見て、その度に激しく嫉妬した。


なぜあの桜井由美は、私が欲しいものをすべて手に入れることができるのだろう。