期末テストが終わると廊下に成績上位者の名前が張り出され、みんながそれを見たくて廊下に集まった。


廊下にいる桜井由美とその取り巻きたち。


桜井由美の取り巻きたちは桜井由美を憧れの目で見つめ、彼女を褒め称えた。


桜井由美は中学三年間、ただの一度も学年トップの座を譲らなかった。


桜井由美は、地元では一番の進学校である私立S高校に行くことを希望し、また彼女ならその高校に行くだろうと誰もが思っていた。


私は彼女がうらやましかった。


私の未来と比べ、彼女の未来は無限に広がっているように思えた。


もしも私があの桜井由美だったならば、私はきっと何にでもなれるし、大きな幸せを掴み取れる。


もしも私が、あの桜井由美だったならば……。


私がそんな不毛な想像をしてみても、現実はやはり違った。


私は寺田小夜子。


私は、病弱な母と二人で暮らしている貧しくてみじめな女の子だ。