夕食の時間、家族三人が揃ったその場所で、私は百合子に言った。


「百合ちゃん、明日はちゃんと学校に行くのよ。

あんまり学校を休むと、お勉強についていけなくなるから」


百合子は、あの公園で倒れていたあの日から笑わなくなった。


うつむき、悲しい顔をしている百合子の顔を見ていると、私の胸は締めつけられた。


「お母さん……、私……、学校に行くのが怖い……」


小さな声でそう言った百合子を、私は見つめた。


「どうして?

どうしてなの、百合ちゃん?」


「顔中に包帯を巻いた女の人……。

私、あの人が怖い……」


「大丈夫よ、百合ちゃん。

もうあの人は、公園にいないわ」


「でも、お母さん……。

あの人、顔を見た私を怒ってた……。

あの人、ナイフを持って私に切りかかろうとしたの……」


「百合ちゃん、大丈夫なのよ。

本当に、大丈夫。

だから百合ちゃんは、学校に行かないと……」