病院で意識を取り戻した百合子は、衰弱した様子はあったものの、大きなケガや病気はなく、その日のうちに家に帰ることができた。


百合子が無事で、ホッと胸をなで下ろした私だったが、悪夢は次の日の朝に起きた。


百合子は学校に行く時間になっても起きてこず、私は百合子の部屋へ行った。


百合子は、頭まですっぽりと布団を被って起きる様子もない。


私は百合子のそばに座り、百合子に話しかけた。


「百合ちゃん、もう朝よ。

起きなくちゃ、遅刻しちゃうわ」


私が話しかけても、百合子は返事もしない。


いつもとは違う状況に、私は胸騒ぎを覚えた。


私の頭をよぎった不吉な予感が、思わず私の口調を早くした。


「百合ちゃん、どうしたの?

起きなくちゃ、学校の時間なのよ」


百合子はそれでも返事をしない。


私は不安になって、百合子の顔にまで覆い被さっている布団を剥いだ。