「じゃあ、ゆあ。しっかりね。」

「うん。また、来週には来るんだよね?」

「いやー。お母さんは来ないわよ。かわりに春田君が来るらしいのよ。」

「え!?春田君が?困るよ!」

思わず口に出してしまった。

「どーしてなのよ。ま、今廊下にいるから。お母さんが帰ったあとにでもゆっくり話しなさいね。」

そういって帰っていってしまった・・。



コンコン

しばらくしてから病室にノックが響いた。

「入るな。」

その声の主は春田君だった。

私は懸命に無表情を続けた。

「なあ。今日の昼休みのこと・・・」

「聞きたくない!!迷惑なの!!帰って。荷物も届けに来なくていいから!」

春田君が言い終わる前に叫んだ。

春田君は、呆然としていた。

「私っ。春田君に迷惑かけてばっかりだし。一緒にはいられないよ。」

「でも・・・俺はそれでもゆあが好きだ。」

「私なんかが・・・。あ・・そ、そういえば。絢乃が春田君のこと好きみたいだから、告白・・・されたらOKしてあげて・・。」

言い逃れるように放った言葉は、チクチクだった。

「何で俺が・・・?」

「私じゃダメだって、いってるじゃん!!」

つい怒鳴ってしまった。

「関わりたくないの!ほっといて!なんでいちいち絡んでくるの!?」

「俺はっ・・・」

「・・・帰って!いますぐ帰って!!」

呆然としている春田君は今日何回目だろうか?

「ねぇ!聞いてるの!?帰っててばっ!」

「俺は・・・・。・・・ごめん・・・。」

どういう意味なの?私に対するごめんなのか、告白をokできないというokなのか。

ただ、ひたすら一人になった病室で考え続けていた。

「やっぱり、死んだほうがよかったのかもな・・・。」

ぽつりとつぶやいた言葉がグサっと刺さった。

「ごめんね・・・。」

いつの間にか涙が出てきていた。