私は、教室に向かっていた。

璃央!!璃央!!

必死に走っていた。

そして、教室のドアを開けて叫んだ。

「誰かっ!璃央を知りませんか!?」

みんなは、ザワザワと話し始めた。

「りおうって誰ー?」

「さぁ?」

「さらに記憶を失ったんじゃねーの?」

「そりゃぁ、ドンマイだなっ!元気出せ!瀬川。うちのクラスにりおうってヤツはいねぇから。」

みんな、信じてくれない。

でも、一人だけ・・・・みんなとは違う反応をした。

「ゆあ。」

それは、今朝の女の子だった。

「あなた・・・今朝の・・・!璃央を知ってるの・・・?」

「私は、春野魅音だよ。ゆあが高校2年生に進級したときに仲良くなった友達だった子・・・なんだけど・・・。」

そうなんだ・・・って!謝らないと!!

「っごめん!私、事故にあってからの記憶がなくて春野さんのことも忘れてて・・・・いきなりでイラついてた!ごめん・・・・。」

「いいよ。それより、璃央のことなんだけどさ。」

「何か、知ってるの・・・?」

「何かっていうか、私は璃央の婚約者なの。」

「え・・・・?コンヤクシャ?」

婚約者と聞こえたのは気のせいだろうか?

「璃央は生まれつきのお金持ちの家で大手メーカー会社の社長の息子。私は、その会社と仲のいい有名会社の娘で親の決めた婚約なの。」

「そんなのっ!璃央だって納得しな・・・・」

「ねぇ。あなたは、璃央のなんなの?」

「え?」

「あなたが事故に会う前から思ってたけど、なにかと璃央と仲がよさげな雰囲気だったけど。」

「璃央とは、幼稚園・・・のときからの友達・・・・だけど。」

「へー。じゃあ、私でもいいのよね。」

どういうこと?聞く前に答えが帰ってきた。

「璃央のとなりにいるのは私がふさわしいわ。」

「そんなの、璃央が決めることでしょ?私達が決めても・・・・。」

「じゃあ、聞くけどさ。事故にあって記憶を半分以上失っているあなたは璃央の事をあまり覚えていない。私は、幼稚園保育園のときよりもずっと前から仲良しなのよ?璃央はあなたが記憶を失っていると知ったらどっちを選ぶでしょうかね。」

「璃央・・・・。」

「分かったら、今後一切璃央についてしゃべらないで。大体、あなたと仲良しなったのもこれが目的だったから。」

教室でひそひそと私達が話していたらいつのまにか、みんな移動授業に移動していた。

「あ、これだけは教えてあげる。璃央は来週日本に帰国するらしいよ。また、ここの学校に来るって。じゃ、バーイ♪」

私は授業に出る気力もなく、記憶を取り戻そうと必死だった。