「っ・・なの?ゆあ。本当に記憶失ってるの・・・?」

昼休み、そんな事を聞かれた。

「え?どうして?」

「私でも解けなかった問題をゆあが解けるなんておかしいよーー!!」

「あ、それ。文字式を使ったんだよ。」

「でも、本当は方程式じゃないとだめなんでしょー?」

「うん。だから、先生も驚いてた。頭脳は小学生なのに!って。面白かったよー。」

ちょっと、無神経だよなー・・・。

私が、記憶を失う前の話なんて、誰も教えてくれない。

気を使ってるのかな・・・?なーんて。

「ゆあ。本当に何も覚えてないの?」

いきなりでびっくりした。

顔を上げるとなぜか、絢乃はとても真剣な顔をしていた。


「うん。分からない。」

あいまいな返事だけど・・・。

「そっか・・・。うん。ごめんね!変なこと聞いて。」

急に笑うから、私はびっくりした。

けど、すぐに意味は分かった。きっと、私は記憶を失う前、絢乃にひどいことを言ってしまったのだろう。

「ううん。大丈夫。」

「あのね・・・。ゆあにしか言えないことなんだけど・・・。私ねー、葵に告白しようと思うんだ。」

「へー。そうなんだ。春田君に?」

「うん。てか、ゆあ葵にあったのっていつなの?」

「春田君とは・・・・。小5のときかな?」

「あははっ!それは、幼馴染とは言わないよー。」

初耳だった。

「そうなのー?」

「うん。幼馴染は、幼稚園、保育園の前からずっと一緒にいる人のことじゃないかな?」

ずっと、一緒・・・・。

もやもやするキモチがこみ上げてきて・・・。

思い出した・・・。

あ・・。

「璃央!!」

「へ?」

私の記憶パズルの1ピースが埋められた気がした。

「璃央って誰?」

「ごめんっ!もう、行かなきゃ!!」


璃央は今どこにいるのだろうか。

考えただけで止まらなかった。