「どういうことですか?先生。」

時川さんが聞いた。

「落ちたときの衝撃で、後頭部を打っているんです。そのため、ここ5年間分の記憶を失っているんです。」

「じゃあ、私のことも・・・?」

「もし、中学時代に出会ったなら忘れられていることでしょう。」

「そん・・・な・・・」

「先生。私は、なんでここにいるんですか?」

思わず聞いていた。

「君は、屋上から飛び降りたんだよ。」

私は信じられなかった。

「私の手術で一命を取り留めておきましたので。安心してください。」

「そう・・・ですか・・・。」

私は、今。いくつなんだろう?

「ゆあ。ゆあはね、瀬川ゆあって言うの。歳は16歳。高校2年生だよ。で、私は時川絢乃。ゆあと、中学1年のときから一緒にいるんだよ。」

「ごめん。知らない。私は、何も覚えてない。覚えてるのは・・・」

「何を覚えているの?」

「もう・・・。帰って。」

「なんで・・?」

「一人にして。」


そういって私は時川さんを追い返した。


「瀬川さん、1週間後には学校に登校できますが、親族との登下校になりますし、松葉杖もつかないといけませんよ。」

「分かりました。」


私は、誰なんだろう。





「おはようございます。瀬川さん。昨日は紹介が遅れましたが、担当医の長谷川幸人です。」

「幸人先生・・・。」

「そう。よろしくね。」

「よろしくお願いします。」

よく分からなかったけど・・・・。