息が切れそうになっても。私は、必死に走っていた。
もう、私には夢はないの。
もう、いっそ・・・・。
「着いた・・・・。」
私が目指していたのは、屋上だった。
「ごめんね・・葵。」
屋上のそこまで高くのないフェンスを登り、残る足場はあと10センチもないくらいだ。
怖い・・・死にたくない・・・・。
でも、もうこれしかないから。
「ごめん。葵・・・・・。」
そういって私は飛び降りた。
ここは?まだ、意識がある。だけど、目の前は真っ暗。
それと、記憶がない。何も、思い出せない・・・・。
目を開けると・・・・。
「ここ、どこ?」
体を起こそうとしたとき、私は変な痛みに襲われた。
「痛っ!」
そう言ったとき・・・
「ゆあ!」
「・・・誰?」
「え・・?ゆあ。私だよ!時川絢乃!」
「とき・・かわ?」
知らない・・・。分からない。誰なんだろう・・・。
「時川さん。無理もないですよ。瀬川さんは、記憶を失っているんです。」
「私が・・ですか?」
衝撃の事実だった。