「おはよー。」

「おはよーゆあ、絢乃!」

明るく声をかけてくれたのは、2年に上級してからの友達。春野魅音ちゃん。

この子も、葵狙いだけど、私達のことを知って、譲ってくれたみたい。


「で?どうなのー?ゆあ。」

「え?どうって?」

「葵君とのこと・・・。」

「あー。それが・・・・。」

いいづらいな・・・。

「別れることになったの。」

「え!?どうして!」

「私が振ったの。友達のままでいいって。」

「そっかー。じゃあ、私にもチャンスがあるのかな!?」

「頑張ってね。」

今度は応援する。

「ありがとう。」

無邪気だなあ・・・。

魅音は、男女問わずモテる学校内1の美少女。

だけど、少し人見知りらしく、話すのは私を含む4人程度だと言われている。

「はぁ。」

「何!?やっぱり、譲りたくないの・・・?いいんだよ?私は、ゆあなら。」

「そうじゃないよー。ただ。まだ一年かーってさ。」

璃央。帰ってきたら許さない。

絶対に一発殴る。

と、そこまで思ったとき・・・



「おい、ゆあ。」

クラスの入り口の前で私を呼んでいるのは、まぎれもなく葵だ。

私は1組、葵は3組。合同体育でもないから、接点はない。

唯一あるのは、生徒会などの行事のときだ。

「きゃー!葵君だ!ゆあ、なんで呼ばれてんのー?もしかして、ヨリ戻そうって言うヤツ?」

「違う・・・と思う。」

絶対ないな・・・。

「何?用件は今言って。」

「なぁ、今日一緒にかえらねぇー?」

「は?」

「だーかーら。一緒に帰ろうっていってんの!」

「無理。魅音とでも帰って。」

今、どんな状況か、分かってんの・・?

「もう、帰って。顔見たくない。」

自分のしたことは分かってる。友達なのに、なんでこんなに、胸が苦しいの・・・・・?