綾香から、地域のバンドフェスタに誘われたのは、それからまもなくの事だった。

「ほら、文化祭、あんま上手くいかんかったじゃん?

だから、先輩達の引退ライブよ、記念のー!」

「うーん、気を使ってくれるのは有り難いけど…」

「先輩、この日無理なんですか?」

香奈さんが、はにかんだ笑みで、申し訳無さそうに言う。

「あたしその日、塾…。ほんと、ごめんね。。休みたいけど、

父親が許さなくてさ…。」

あー、と残念そうに言った綾香は、上橋さんを見る。

「来ますか…?」

「なんだ、嫌なのか滝。行くに決まっ、て、るだ、、」

しゃっくりを始めた上橋さんを、香奈さんがじっと見ていた。