「憧れちゃったら、終わりだよね」

ぽつりと呟いた穂に、んー、とてきとうに答える綾香。

格好いい、格好いい。

どんなに手の届かない存在でも、伸ばしてみなきゃその距離はわからない。

私は、なんの取り柄もない、ただのボーカル。


きっとこんな私じゃ、彼等に手を振れることも叶わないんだ。

また、鉄柵が敦也の温度に感じた。

「すいー?泣いてるん?」

のぞき込んできた綾香から逃げるように、顔を背けた。

泣いてないよ。

キャンプファイヤーの火、強すぎるせいだよ。

太陽が、水平線にうなだれた。

降りよう。

人気がある所に、行きたかった。