「なんだ、偉く盛り上がってんじゃん。

芸能人でも来てるの?あ、まさか、

Sukalu…!?」

バンドフェスタ入り口の門で、声の大きい大学生が、運営スタッフに聞いた。

その言葉に、付近の何人かが足をとめ、会場を見る。

「違うよ兄ちゃん、バンドフェスタ。まさかSukaluが、こんなチンケな祭りにゃ来ねぇ。

おおそこのフード兄ちゃん、これプログラムーー、

まあでも、盛り上がってるねぇー、
人気のバンドなんじゃない?」

「まじか。」

話半分も良いところ、大学生は仲間と共に、ステージライトの光る会場へ、一歩踏み出した。

付近の町民も、口元を喜ばせて、門をくぐっていく。

女の子の歌声がする。

気持ちいい、楽しい、おもろい、大好き、、

そんな思いを、一気に詰め込んだ少女が発するような、何故か心惹かれる歌声だった。

特別上手いわけじゃない。

特別有名な曲じゃない。

なのに会場は、満員御礼、うねるような熱狂振りである。

運営スタッフの町長は、にやっと笑って帽子を被り直した。