「遅かったですね」

「そうですね。迷ってしまいました。」

沖田に怪しまれると思ったがどうやら彼は甘味のことで頭がいっぱいのようだ。

おめでたいやつだ。

総「そうだ。あなた先ほど店の女と何を話していたのですか?」

ちっ。気づいていたか。

「袴の相談を」

総「あんな耳元で?おかしーなー。確か、あそこは長州とつながりがある店のはずだけど……………。」

こいつ、知ってたのか。

「そうなんですか。」

総「やっぱり君は敵だ。だからーー」

沖だがその先を言う事はなかった。
なぜならその、長州の奴らがやってきたからだ。

「やはりな。新選組の沖田じゃ。」

総「面倒ですね。君は下がっていて下さい。……………………いや、あちらのみかたでしたっけ!!」

沖田が言い終わるが早いか斬り合いは始まった。

沖田一人対5人。

圧倒的に不利だ。

かと言って私が参戦すれば足でまといとなる。ここは、おとなしくしとくのが最善の策というもの。

しかし、私の思いは神には通じなかった。


突然後ろから肩を捕まれ正面を向かされた

私は、当然の事ながら刀など持っていない。

ヤバイ。足がすくんで動けない。

どうしよう。

沖田はこちらをチラッと見たけど私の事を完全に敵視している。

男は私の袴(藤堂に借りているもの)
を強引に引っ張り連れて行こうとした。

「お前くらい小さいと拷問の、やりがいってもんがあるぜ。」

ごうもん?…………やだよ。

助けてよ。

男は更に強く、襟元を引っ張ったため
着物ははだけ私の上半身があらわになった。

頭の中で赤ランプがひかってる。

バレたら終わり。

一さんの言葉がよぎる。

「っ!おい!見てみろよ。こいつ、女だぜ」

男がもう一人の手の開いている男を呼んだ

「ほんまじゃ。しかもよー見てみ。えろー
きれーな顔じゃ。」

やめろ。

「おぉ!これは高く売れる」

ヤメロ

「連れてけ」

私は、男に担がれた。

ヤダ

オネガイタスケテ。

私の異変に気づいたのか沖田がこちらへ向かってきた。

総「何をしている!そいつを返せ。そいつは新選組で預っているやつだ。」

「にーちゃん。残念だかこのべっぴんさんのおねーちゃんは俺らがもらう」

「ヤダ!!!タスケテ。タスケテ沖田!」

総「言われなくても助けますよ」

沖田が刀を構えた時3人が沖田めがけて
飛び出した。

危ないっ!と思ったとき沖田は、刀を動かしてすら無いのに3人共倒れた。

総「遅いですよ一君」

一「遅れてすまない。残りの二人もさっさとかたそう」

総「わかつてるっての!」

あっという間に二人の男は朽ち果てた。

これが新選組の天才剣士。

私は、その場にへなへなと座り込んだ。

我ながら情けないと思った。

一「平気か?咲見。すまない。このような事にお前を巻き込んで。」

大丈夫………そう告げようとしたけれど
声がうまくでない。

ポロポロと涙がこぼれ落ちる。

一「本当に済まなかった。俺がもう少し気を聞かせていたならこのような事にはならなかった。もう、大丈夫だ。お前は俺が守ってやるから」

そういって。一さんはそっと私を腕の中に収めた。

総「…………君が敵じゃない事は分かった。
疑って悪かった。けど、連れて行かれそうになったくらいで泣くなよ。男だろ」

一「………咲見。総司になら話してもいいか?」

私は、首を縦にふった。

一「総司。咲見は………女だ」

一さんがそっとつげる。

沖田は、女が嫌いだと有名。

総「……………おん………な。え!女?咲見が?
は?おんな!?」