高校に入学してすぐのある日
拓依は俺にこう言った。



「なあ邑弥。
お前は夢とかあるか?」


「んなもんねぇよ。
俺は適当が一番楽でいいんだよ」

「俺は夢がある。」

「知ってるよ。
絶対甲子園に行く!!だろ?」

「違う。
俺の夢は邑弥と甲子園に行くことだ。」

「は??!!
つか俺.野球部じゃねえし。」

「野球部に入って俺と一緒に
甲子園目指そうぜ!!」

「なんだよお前いきなり。」

「俺…邑弥が夢とか持てなくて
なんとなく過ごしてる姿見て
もったいないって思ったんだ。」

「もったいない?」

「邑弥はやりたいことが見付からないだけで.やりたいことさえ見付かれば輝けると思うから。」

「でも何で野球なんだよ?」

「実は俺.昔から甲子園は邑弥と
一緒に行きたいってひそかに思ってたんだ。」

「俺と?!何で?」

「わかんねえけど.俺等って
生まれた時から一緒だからかな」

「なんだそれ。笑」

「とにかく俺と一緒に甲子園
目指そうぜ!!」

「俺よく野球わかんねえし。」

「じゃあ日曜.桜木と南波の練習試合見に行くぞ。」