わかりきった自分なりの冗談、雅に振り返り質問してみた。


「 ん?」

「 あのさ、間違ってたらごめんね… 雅くんて、もしかしたら 私が好き?」


だって、バカでもわかるよね…


好きでも好意もない相手を抱きしめたりなんかしない。

もし、お隣さんのよしみで…なんて言ったら それこそ おかしい。



「 …好きだよ、椿ちゃんが。ダメ?」


あっさり言った雅に、かえってほんとに冗談だと思ってしまった。

あんまり簡単に言うから…


「 ダメじゃ、ないけど… 軽いね、雅くん 」


信用性ゼロだよ…

好きに、心がないもん。


「 軽くないよ?」


え…


「 葵の… 弟の恋人だろ、簡単じゃないし、軽くも言ってないよ。
ただ… 教師でも 兄貴でもなく、雅としてなら言える…」


え… えっ…


「 雅くん? あの…」


なんか、違う… 待って…


「 好きだよ、椿… 君が好きだ 」


冗談、じゃないよね? だって…

さっきと違う、口調も顔つきも… 雅くんが、雅くんで…

これって ほんとに告白っ…



自分なりの冗談のつもりが、雅の告白に驚い困惑した。

本気はどこまで本気なのか。

満月の夜空に、飛行機が着陸する轟音が耳を突き抜ける。



「 好きだ… 」


雅の言葉が轟音よりも耳に残っていた。