会えばふたりの間にある年齢だけではない距離を感じて切なくなるけれど、それでも翔平君と会えれば嬉しくなる。

嬉しくて、苦しくて、幸せで、悲しい。

会わずにいれば、この気持ちも消えていくかもしれないと思うけれど、高校時代からの付き合いである兄さんと翔平君の友情は固いようで、ことあるごとにその気配を感じる。

私の初恋の人で、今でも愛しく思う唯一の男性だけど、翔平君にとって私は単なる親友の妹。

オンナではなく女の子だと何度も実感させられた過去の経験は、私に諦めとため息の隠し方を教えてくれた。

それでもまだ、私は翔平君が好きなのだから、どうしようもない。

この想いを解放して、自分の幸せのためにも新しい恋を見つけなければと思いながらもそれができずにいる。

翔平君への想いを断ち切れない面倒な気持ちはマンションを買うときにも顔を出した。

マンションという大きな買い物をするのだから、多くの物件を見て回り、本当に気に入ったものを買おうと決めていた。

けれど、週末ごとにモデルルームを見に行けば、そのどれにも目を奪われた。

モデルルームという、計算されたインテリアが提供されている魔法の空間に入れば、そのどれもが素敵に見えて、すぐにでも住みたくなる。

私が見たものはどれも魅力的で、すぐにでも欲しくなったけれど、一旦買えば返品なんてできないし、経済的な負担を背負ってでも買うとなれば慎重になる。

簡単には決められなかった。