「おはようございます」


私たちが丁寧にそうあいさつをすると、副社長はこちらを見てにこり笑って返してくれる。


たったそれだけなのに。
毎日繰り返されているただの挨拶なのに、私の心は懲りずに撃ち抜かれてしまう。


彼女がいると知って怒りが込み上げてきたけど、こんな優しい挨拶をしてくれるなら、今は誰と付き合ってたっていいか。
私は少しずつ距離を詰めていって、確実に奪ってやるんだから。


そんな事を考える私の横を爽やかに通り過ぎていく副社長。
この颯爽と歩く感じがたまらない。
あ、なんか良い香りした。
香水かな?
ふんわりとした甘い香り。


もしも副社長に抱き締められたら、あの甘い香りに包まれちゃうのかぁ。
そんなの幸せすぎてどうにかなっちゃうよ。