“拓磨なんてやめて俺にしなよ”



さっきから頭から忍くんの声が離れない。



私たちはあの後、先生たちに助けられて先にバスに乗せられていた。


隣には済ました顔の忍くん。

さっきのことは嘘だったんだろうか。


生きてきた中での初めての告白。
どうすればいいのかさっぱり分からない。
というか、私には好きな人…そう、拓磨くんがいるんだよ。


それを知ってて…?
というかあれは告白…?


「はぁ…」


思わずため息が出る。


「俺が隣にいてため息か。
いい身分だな」


「は、はい…」


ほらやっぱり。
好きな人にこんな強気な態度するわけないもん。
嘘だったっていうかきっと吊り橋効果ってやつだったんだよ。

危険な状態にある緊張状態が恋愛のドキドキとまじるあれだよ。あれ。


「さっきのは吊り橋効果じゃない」

「なっ!!!!」

「心の声がダダ漏れだ。
まぁ、ちゃっかり意識してくれてるなら伝えてよかった。
お前ももう俺の気持ち知ってるんだ
なにやってもいいだろ?」


前よりも悪魔になってるのは気のせい…?


「わ、私にはほかに好きな人が…」


「知ってる、それでもいい」



なんでそんなセリフ済ました顔で言えるの!?
辛くないの…?

忍くんって本当意味わからない…
第一私より身長低いし優しくないし全然タイプじゃない。
こんな人…好きになるはずないんだから。