「っ、」
それだけで、ぴくりと私の身体が跳ねる。
至るところが敏感になっているみたいで、震えが止まらない。
「…もう、これで莉茉は俺から逃げられねえな。」
「……暁……。」
満足そうに呟く暁に私の顔が綻んだ。
…………逃げるはずないのに。
それでも、暁にそう言って貰えるのは嬉しい。
「…暁。」
「ん?」
「…離さないで…。」
ずっと、
…何時までも、私を離さないで側にいて。
「…あぁ、逃がさねぇ。」
「…ぁんっ、…」
妖艶に微笑んだ暁が奥を突く。
溢れる私の高い嬌声が部屋の中に響き渡った。
「っ、やぁ…。」
無意識にベッドの上に逃げようとすれば、暁に腰を引き寄せられ、律動を強められる。
「っ、」
余りの強い刺激に頭が真っ白になった。
…もう…
……何も考えられない…。
身体が痙攣する
「っ、莉茉…。」
「…あぁっ!」
暁から与えられる絶頂の波に、私は飲み込まれた。
「大丈夫か?」
ぐったりとする莉茉のさらさらの髪を優しく梳く。
…少し、無理をさせ過ぎたか。
ベッドの下に散らばる銀色の袋の多さを見て、自分の欲望の強さを初めて思い知った。
「…ん。」
荒い息をした莉茉の瞳が億劫そうに開けられる。
気だるげな仕草も堪らない。
また、貫きたい衝動がふつふつと沸き起こってくる。
「…莉茉…。」
莉茉の首筋に顔を埋め、口付けを落とす。
……また1つ。
もう1つと真っ白な莉茉の首筋に証を赤い花を刻んだ。
「…暁…。」
掠れた莉茉の声。
「うん?」
「…もう駄目…。」
顔を上げた俺に首を振る莉茉。
「莉茉、大丈夫だ。」
弱々しい抵抗に微笑む。
「……?」
そんな俺に、莉茉が首を傾げた。
「お前は、ただ感じていれば良い。」
「っ、なっ―――。」
抗議の声を唇を塞ぐ事で遮る。
なぁ、莉茉。
―――これで、終わりのはずがねぇだろ?
莉茉の口内を丹念に味わい尽くしていった。
「……暁の馬鹿…。」
ベッドの上で力尽きた莉茉が潤ませる瞳で俺を睨む。
「ふっ、声が掠れてるな。」
そんな顔で睨まれても怖くねぇんだよ。
逆にそそられるだけだ。
事情の跡が残る莉茉の身体が、何とも言えない色香を醸し出していた。
「…声が上手く出ない…。」
莉茉が顔を顰める。
…少し啼かせ過ぎたか…。
「ちょっと待ってろ。」
頬を撫でて、キッチンへと水を取りに向かう。
ペットボトルを手に寝室に戻れば、莉茉が身体を丸めて眠り込みそうになっていた。
「……莉茉。」
「…ん…。」
うとうと眠りの縁に入り掛けている莉茉に口移しでゆっくりと水を流し込んでいく。
「……んん。」
溢れた水が莉茉の口から流れ落ちたのを舌で舐め取った。
「っ、暁…。」
羞恥にか、莉茉の頬が朱に染まっていく。
「ふっ。」
初初しい反応を返す莉茉に俺の口角が上がった。
肌を重ねても、恥じらう姿に愛おしさが増す。
――――溺れてるな。
ここまで1人の女に入れ込むとは、俺自身も思わなかった。
まぁ、
……悪い気はしない。