「…もう少し、我慢出来るか?」


「…う、ん…。」



ぎこちなく笑った莉茉が俺の首の後ろに腕を回す。



「…暁、お願い…。」



泣き濡れて潤んだ莉茉の瞳が俺を見上げる。



「―――止めないで…。」



艶やかな莉茉の声。



「っ、」



息を飲む。



………勘弁してくれ。




本当は優しくしてやりたかったのに…。



「はっ、止められる訳がねぇだろ。」



煽ったのは、お前だ。



「…んやっ…。」



一気に貫けば、弓なりに莉茉の身体が反らされた。



「っ、」




……やべぇな。



莉茉の中が堪らなく気持ち良すぎるだろ…。



「っ、莉茉、愛してる…。」


「……んっ。」



強引に莉茉の唇に口付けて、深く舌を絡ませる。




肌を重ねる事で、ますます愛おしさが募っていった。



「っ、ぁあっ…。」



一際、大きな莉茉の嬌声。



「…………莉茉。」



快感に身体を震わせる莉茉に口付けをますます深めた俺は、その細い腰を引き寄せた。



「…莉茉っ…。」



何度も、


繰り返し、愛おしい女の名前を呼び続ける。




溺れるくらい気持ちの良い莉茉の中で律動を刻んだ。



「……莉茉。」


「……。」



欲情を孕んだ暁の声にうっすらと目を開ければ、切なげな顔が私を見下ろす。



「…っ、暁…。」



その暁の顔に、ますま自分の身体が熱くなっていく。



「…暁、キスし…ん……。」



“したい”とねだろうとすれば、噛み付くような荒々しい口付けが落ちてくる。



「……んふ。」



暁の口付けを受けながら、どんどん私の何かが作り変えされていく気がした。




そんな、漠然とした不安感。





花が咲き誇るように、暁の手によって、



……女になっていく。




ゆっくりと、確実に…。



「…んぁ…。」




甘い吐息さえも暁に奪われた。




「…んん…。」




息苦しさに逃げようとすれば、暁によって、より深く舌を絡ませられる。



目尻に涙が滲んだ。



「…莉茉。」




口付けを終わらせた暁に髪を優しく撫でられる。



「……。」


「……。」



荒い息の中、熱を宿した暁の瞳と見つめ合う。



「…好き…。」



ぽつりと言葉が溢れた。



……好きなの、暁…



狂おしさに、私のこめかみに涙が溢れ落ちる。



これが、誰かを好きになるって事なんだ……。




ーーーこんなにも幸福で。



…………こんなにも満たされる。




「…大好き、暁…。」




暁の首の後ろに腕を回して、しがみ付く。




……このまま、溶け合ってしまいたい。




そうすれば、ずっと暁と離れずにすむのに…。



「っ、」



驚きにか、暁が息を飲む気配がする。



「……チッ、お前が悪いんだぞ…。」



次の瞬間、舌打ちした暁は律動の動きを速めた。



「…ぁん…。」




暁の律動の動きに翻弄される。





ーーー痛みがなかった訳じゃない。





貫くような痺れと、


……甘い満足感。



「…暁、…暁…。」



うわ言のように暁の名前を繰り返し呼び続けた。



「っ、」


ちくりと首筋に走る痛み。




「……?」


「莉茉が俺のものだって言う“証”だ。」




その痛みの理由が分からず首を傾げる私の首筋に、暁は手を這わせた。



「っ、」




それだけで、ぴくりと私の身体が跳ねる。




至るところが敏感になっているみたいで、震えが止まらない。



「…もう、これで莉茉は俺から逃げられねえな。」


「……暁……。」




満足そうに呟く暁に私の顔が綻んだ。




…………逃げるはずないのに。





それでも、暁にそう言って貰えるのは嬉しい。