やけに馴れ馴れしく話し掛ける敦に対して、薫はいつもと変わらず愛想がない。

「卯月さん…知り合い?」

(馴れ馴れしく薫ちゃんなんて呼ぶんじゃねぇよ!!)

志信が怒りを堪えながら尋ねると、薫より先に敦が口を開く。

「オレねー、津村 敦。10年目。薫ちゃんが新入社員の頃から1年半くらい、本社SSで一緒に仕事してたんだ。」

(オマエに聞いてねぇ!!)

志信はイライラしながらタバコに火をつけた。

その場の空気を読む気配も全くない様子で、敦は相変わらず薫に親しげに話し掛ける。

「薫ちゃん、いくつになった?」

いきなり歳を聞かれて、薫は眉間にシワを寄せた。

「だから卯月ですって…。30になりましたよ、何か問題ありますか?」

「結婚はしてないの?」

「してませんが、何か?」