聞けば聞くほど薫の仕事ぶりは普通じゃない。

志信はSSで勤務していた時も薫の事はスゴイとは思っていたが、思っていた以上の仕事の出来過ぎぶりは、もうため息しか出なかった。

(なんか…ホントにオレで良かったのかな…。そりゃ会社の人の前で彼氏なんて言ってもらえないよ…。自信なくなってきた…。)

薫と女子たちは、肩を落としてビールを飲んでいる志信を不思議そうに見ていた。

「笠松くん、どうしたの?もしかして、チキンの最後の1個、欲しかった?あげようか?」

薫は取り皿の上のチキンを志信に差し出した。

(そうじゃないだろ…。ってか、オカンか!)

「いい。要らない。」

相変わらず肩を落としている志信を見て、石田は複雑な心境を察したのか、慰めるように優しく肩を叩いた。

「笠松の気持ち、わかるわぁ。」

「え?」