「甲って…確か、受験資格があるよね?」

「高1の時に乙4取って、ずっとバイトしてますからね。それだけでも資格はありましたけど…大学が工学部の化学工学科だったので、マネージャーの勧めもあって、せっかくだから大学時代に取っておきました。」

「バイト時代に甲?!」

「スゴ過ぎ…。」

「オレがマネージャーだったら、オレより上の資格持ってるバイトなんて嫌だよ。」

思わず小声になる男たちに、薫はビールを飲み干して淡々と話す。

「でもまぁ、あまり必要ないですよね。危険物全種扱えたって…。ガソリンスタンド勤務者は乙4さえ持ってればじゅうぶんです。」

薫はサラリとそう言って、志信と石田の分も一緒にビールのおかわりをオーダーした。

「もしかして卯月さんの整備士免許って…。」

三井がおそるおそると言った感じで尋ねると、薫はタバコに火をつけて答える。

「残念ながら1級じゃなくて2級。」

「2級!!」