優太side

「ねぇ~優太ぁ?今日はあたしと遊ぶ日よね?」

下駄箱で靴を変えていたときに一人の女が声をかけてきた。

「そだね。やっぱカナちゃん可愛いわ。」

女の名前を覚えるのは得意だ。

「えぇ~?何ぃ、急に。」

「べっつに?思ったこと言っただけ。」

女を引き寄せる。

「ふふ。嬉しい。」

「じゃあ、ご褒美ちょーだい?」

「しょうがないなぁ。もぉ。」

いいよ?と俺に近づく女。

「ありがと。」

俺は女に笑顔を向けて狭くて暗い路地に女を連れ込んだ。

「んん...」

俺はすぐさま女の唇に自分の唇を押し付けた。

「んっ......はぁ...っ...」

何度も女の唇を塞ぐ。

「はぁ...んんっ...」

空気を求めて開いた口に舌を入れる。

「んはぁっ...んん......。」

チュッと路地にリップ音が鳴る。

「やっぱ、カナちゃんが一番。」

俺はキスを終えると女を抱き締めた。

「どーせ、皆に言ってるんでしょぉ?」

と言いながら抱き締め返す女。

そう、俺は本気じゃない。本気になんてなるわけないだろ?
めんどくさいし。

だから、今まで好きでもない女とキスをして、抱いてきた。
恋愛なんて所詮、お遊びごっこ。本気になるほうが馬鹿げてる。

女の方も分かってるんだろう。

「ねぇ、優太?...ホテル行こ?」

女の方から言ってきた。

「いいよ。」

そして俺は毎日、違う女と遊んでる。






「優太、いい加減、女遊びやめろよな。んなことしてっから、友達も出来ねぇんだよ。」

次の日毎日おんなじ言葉を言う俺の唯一の友達、早川 葵(ハヤカワアオイ)。
顔はまぁイケメンで性格もいい。誠実で俺とは正反対のタイプ。
そんな葵がなんで俺の唯一の友達なんだか。

「だってさ......」

と、俺が言い訳をしようとしたとき。

「葵ーー!!」

元気な声が響いた。

「小雪!」

葵が嬉しそうにその子の名前を呼ぶ。

ドアの方を見ると葵の幼馴染みの井上 小雪(イノウエコユキ)が立っていた。
顔はめっちゃ可愛い。俺が声をかけようとしたら葵に、やめろ。お前は手ぇだすな。って思いっきり睨まれた。
好きなの?って聞いたら思いっきり顔が赤くなったから片想いしてるんだろう。

で、いつも小雪ちゃんの隣にいるのは...誰かわかんないけどその子もめっちゃ可愛い。
小雪ちゃんよりも可愛いと思う。でも、名前わかんないんだよな...。

「ねー、ユカちゃん。あの子だれ?あの、小雪ちゃんの隣にいるめっちゃくちゃ可愛い子。」

俺はすぐそばにいた女に話しかける。

「えっとねぇ、村山さんのこと?村山 瞳子。小雪ちゃんも人気だけど葵くんのことが好きらしいから、今は村山さんが学年トップくらい人気なんじゃなーい?」

へぇ~。小雪ちゃんって葵のことがねぇ。両思いかぁ。

...村山 瞳子ちゃん。

ガタッ

俺は自分の席から立ち上がった。

「ねーねっ、瞳子ちゃんだよね?」