それから数ヶ月たって、受験勉強真っ只中。12月に入った頃だった。私は生まれて初めて告白をされた。相手は小学校からの幼なじみ。ずっと友達と思ってた彼の告白は驚きと傷ついていた私を優しく癒してくれた。私は友達に相談をして、どんどん惹かれていく気持ちに気づき、彼と付き合うことになった。今までで一番幸せだった。元から仲が良かったので、たくさん話すこともでき、恋人らしいこともできた。この上ない幸せを感じていた。受験生ということでデートとかもできなかったけど、2人でいる時間がとても嬉しく、幸せで、楽しかった。
卒業が近づいている頃、私はある不安を抱えていた。彼の優しさが怖くなっていったのだ。友達にからかわれるのが嫌で、でも、誰にも相談できなくて自分の殻に少し閉じこもっていた。卒業式の2日前、彼の友達と電話をした。どうゆう流れでかは、あの時は夢中で覚えてないけど、その友達に思い切って相談をしてみた。
「あの…さ。私、あんまりからかわれたくないんだよね。卒業アルバムには名前書かれるし…、親に見せれないよ…。」
『…』
「今思ったんだけどね、なんか、付き合わなければよかったなって思ってる。今では、好きだっていう気持ち、もしかしたら勘違いだったのかもって…。告白されて浮かれてて、上辺だけで好きだったのかなって…もう…わかんないよ…」
『…あのさ。』
「ん?」
『勘違いとか言うな。そんなに不安になるなよ。もし今好きじゃなかったりしても、勘違いで済まそうとするな…。相手も、お前だって悲しむことになるじゃん。そんな一言で済ましちゃだめだ…!』
あまりにも友達が真剣に話すから私は少し嬉しくなって涙が出てしまった。でも…
「じゃぁ、どうして不安になるの?もうわかんない…。」
『それは自分で考えろ。』
「…うん。わかった。話聞いてくれてありがと。ちょっとスッキリしたかも。」
『…おう。』
「じゃぁ、もう遅いから寝るね。お休み。」
『お休み。』
そう言って、電話を切った。そうでもしないと整理がつかなくなりそうだったから。
次の日彼氏ともその友達とも目を合わせることが出来なかった。不安は大きくなるばかりだった。
明日は…卒業式だ。
卒業式間近になりそれでもなかなか彼と話すことができなかった。どうしたらいいのだとモヤモヤだった。
卒業式が終わり両親とご飯を食べその日の夜。
相談にのってくれた友達に…告白をされてしまった。
私は最低だった。
はっきりと断ることができなかった…。 私は気まずくなり彼氏とも、その友達とも連絡をとらなくなっていった。
春休みに入り私は女友達と遊びに行っていた。もちろんその人達は私にあったことを知らない。それであってか気持ちが楽になった。楽しくて、そんなことを忘れてしまっている最中、その友達は相談にのってくれた友達を遊びに誘った。頭が真っ白になった。どうにか…変な感じに…なりませんように…。


平然としていたつもりでも私の顔はひきつっていたであろう。
帰る時間になって友達に別れを告げたあと駅に向かおうとしたところ、極度の方向音痴の私は帰り道がわからないでいた。ケータイで調べてもよくわからなかった。その時にある人から連絡が来た。
「うそ…。」
相談にのってくれた友達だった。
『送るよ。今どこ?』
さすがに無視するのは行けないと思ったので、
『○○の前にいるよ。』
既読がついた。それから数分後その友達が来た。
「おーい。行くぞー」
その人はまるで何もなかったかのように私に振舞う。それが余計に苦しかった。
2人で駅に向かっている間、私はなかなか口を開けずにいた。その時ケータイがなった。すぐ隣にいるその友達だった。
『この前言ったこと…、俺、マジだから。』
やっぱり気にしてたんだ…
『うん…』
『俺じゃダメかな…』
え…。
「俺じゃダメなのか。」
急に口を開いた。そんなことははじめてで、怖くて…でも嬉しくて…。私はまた返事できずにいた。
沈黙が続き、駅が見えてきた。まだ何も返事返せてない…。
私は、
「送ってくれて、ありがとう。」
とだけ伝え電車に向かった。

その夜。私は、もう終わりにしようと心に決めた。こんなもやもやのままはもう嫌だった。私は、彼氏を大切にしたいと、そう思った。

『ねぇ』
『ん?』
『私ね、嬉しかったよ。好きって言ってもらえて。』
『うん。』
『私があなたに少しでも心が揺らいだのは紛れもない事実。でもね…、ダメなの。彼氏大切にしないといけないし。でも、今でも好きって言う気持ちは勘違いだったのかもって思ってる。だからね…気持ちをしっかり整理する。』
『そっか。まぁ、そうだよね。うん。わかってた。』
『ごめん』
『謝らなくていいよ。あきらめもついた。しっかりと気持ちが整理できるように頑張れよ!』
文字だけの会話だったが、精一杯文字を打っていることに私は気づいていた。
『うん。ありがと!』
『おう!』
『じゃぁね。おやすみ。』
『あぁ。おやすみ。』

アカウントを変えたのか、私はその人と連絡が取れなくなった。

私の彼は知っていたみたいで黙って私の話を聞いてくれた。
私は、自分の醜さに気がついた。勝手に一人で暴走して…。でも、だから、彼と別れなくちゃいけない。

『ねぇ、私達高校生になるじゃん?』
『うん、まぁ、そうだね。』
『このままでいいと思う?』
『何が。』
『高校ちがくて、これから色々な出会いがあると思う。だからね、私なんかよりいい人と出会って?』
『それってさ、俺今ふられてる?』
『まぁ、そんなことになるかな。』
『そっ…か…』
『私は、いろいろ最低なことをした。だから、嫌いになってよ。私に縛られないで、新しく始めよ。卒業して、お互いに忘れられなかったらまた始めよ。』
『嫌いにはならないよ。でも、花恋がそうしたいのならそうする。また戻れるんだろ?』
『そうなればいいと思ってる。』
『そうだね。』
『じゃぁね。ばいばい。』
『あぁ。これからは友達としてまたよろしく。』
『うん。』

私は結局すべてを手放してしまった。最低で、自分勝手で、二人を傷つけて…。

神様…私を苦しめて。うーんっとうーんっと苦しめてね。