それは五年前

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『莉那!!
早く…早くきてっ』


「拓実…っ
そんなに急がないでよ」




あの頃の二人は
本当に仲が良くて

あたしは
百瀬の笑顔が
好きだった



『こっちだよ』



百瀬に連れられて
人気のない
静かな場所に辿りついた



「何があるの?」


『ちょっと待ってて
連れてくるから』



あたしを置いて
どこかへ行く百瀬


壁にもたれ
帰りを待った




「拓実…遅いなぁ」



たった数分で
そんな事を思った


そんな時





ニャーニャー



声が聞こえた




『莉那!
猫好きだよね?』


「え?うん」


『一緒に育てよう?』




現れた百瀬の
腕の中では



小さな小さな猫が
あたしを見ていた