『……うっ…』

目が覚めると白い天井が見えた。
薬品の臭いがしてここが病院なんだと分かった。

『ハァ…ハァ…ハァッ』

服がビッショリ濡れていて身体が凄く熱く感じる。
息苦しくて目の前がグルグル回っていて気持ち悪くなってきた。

ガラガラッ

「莉乃、検温の時間d……って、莉乃!?」

扉が開く音の次にカーテンが開く音がして白衣姿の悠兄が見えた。

「発作か!?」

悠兄は慌てて聴診器をつけて私の服のボタンを外し、胸の音を聞き始めた。

「……(やっぱり音悪いな)」

悠兄は難しい顔をしていた。

「莉乃、音も悪いし熱も高いから今から点滴するな?」

『……う、ん…』

点滴は苦手だけどこれ以上しんどくなるのなんて嫌だから私は頷いた。

あらかじめ持ってきてたみたいですぐにアルコール綿で左腕を消毒された。
点滴台に点滴の袋を二つぶら下げて悠兄は点滴の針を手に持った。

「じゃあちょっとチクッとするよ?」

『う"っ!!』

「はい、よく出来ました」

点滴がちゃんと落ちてるか確認した後、悠兄は私の頭をポンポンとした。

「薬、効いてきたら発作も熱も良くなると思うから今はゆっくり休んでて」

そう言って部屋から出て行こうとする悠兄の服を引っ張った。

「!!どうした?」

『……傍に、居て?眠るまで…で……いい、から』

我が儘だって分かってる。
それでも一人ぼっちは嫌だった。

「……分かった。傍に居るよ」

優しく微笑むと悠兄は丸椅子に座った。

「そうだ、言い忘れてた」

『……?』

「今日から相部屋になるから」

『……あい、べや?』

「そ。莉乃の一個上の女の子が莉乃と同じ喘息で入院してくるんだよ」

『お、女の子……って、もしかして……私、入院…?』

「当たり前だろ?熱も下がんねぇし、喘息も悪くなってる。とりあえず熱下がって安定したら一通り検査すっから。退院は検査結果次第だな」

『…………』

せっかく退院出来て学校に通えるようになったのにまた入院になるなんて……

「りーの、そんな落ち込むなって。また良くなって学校通えるようになるから。な?」

『……うん…』

「とりあえず今はゆっくり眠って」

『…………』

悠兄にお腹をポンポンとされ、だんだん眠くなり私はそのまま目を閉じた。