学校に着くと起きた時よりしんどくなってきた気がした。

『ハァハァハァ……』

下駄箱で上履きに履き替えて三階まで上がると息切れがした。

教室の手前で立ち止まり、息を整える。

よしっ、大丈夫っ!

私は教室の中に入った。

『おはようっ、みんな!』

クラスのみんなに声を掛けた。

「あっ!月見里さん、おはよー」

「おはよう、月見里さん」

「おはよー」

次々にみんなが声を掛けてくれた。

「莉乃っち、おはよー!……って、顔色悪いけど大丈夫?」

そう私に声を掛けてきたのは小学校からの付き合いの親友、望月 結奈(もちづき ゆな)ちゃん。
私は結奈って呼んでいる。

『あっ、うん……ちょっと朝から具合悪くて……あ、でも熱はたいした事ないから大丈夫だよ?』

結奈には隠し事が出来ないから私は正直に話した。

「……たいした事ないって、何度だったの?」

『……7度2分…』

「うーん、微熱だね……まぁ、大丈夫ならいいんだけどさ。てか、よく脩斗さん達許してくれたね?」

具合悪くて微熱があったら脩兄達は絶対に学校に行かしてくれない。
だから結奈はビックリしてた。

『あっ、えっと……今朝は二人共居なかったから』

「えっ?……もしかして、二人共当直……?」

『うん』

私は頷いた。

「……そっかぁ。ま、具合悪くなったら言うんだよ?」

『うん。ありがとね?結奈』

「ふふっ、どういたしまして」

先生が来たので会話を終えて私は席に座った。






ホームルームが終わり、一時間目の授業が始まる頃には更にしんどくなってきて目眩までしてきた。

『ゲホッゲホッゴホッ』

更には咳まで出てきた。
今は授業中なのでなるべく咳をしないようにしなきゃと思いつつも、それとは裏腹に咳は止まらず、更に酷くなってきた。

「莉乃、大丈夫?」

隣の席の結奈が心配そうに声を掛けてきた。

『だ、だいじょu……「月見里、どうした?具合でも悪いのか?」』

結奈に大丈夫って言おうとした瞬間、先生に声を掛けられた。

「せ、先生!莉乃、具合悪いみたいなんです!咳まで出てきたし、私保健室に連れて行きますね!」

結奈はガタッと席から立ち上がると早口にそう言った。

「……そうだな。顔色も悪いし……すまないが望月、頼めるか?」

「はいっ!莉乃、歩ける?」

『う、うん……ゲホッゲホッ、ごめ……んね?ゆ、な』

「大丈夫だよ!気にしないで?」

結奈は嫌な顔一つせず、微笑んでいる。
いつも迷惑をかけてばっかで本当に申し訳なく思う。