私のノックを今か今かと待ちわびていたかのように、

部屋のドアが勢いよく開いた。

「あ、お姉ちゃん! お帰り。」

満面の笑みを見せながら

飛びっきり元気な声が飛んでくる。

そう、ここは弟の部屋。

名前は大塚耀紀(おおつか ようき)。

私とは2歳差の公立中学2年生。

中学生にもなれば“姉貴”などと呼ばれるのが

一般的かもしれないけど、

小さい頃から今も変わらず

“お姉ちゃん”と呼んでくれる。

私も耀紀のことをずっと“ヨウ”と呼んでいる。

思春期の今頃は、

兄弟間にわずかながら距離が生まれてしまうけど、

そう考えると私たち姉弟はすごく仲がいいんだと思う。

今だってこうして

にっこり笑顔で私を迎えてくれるのだから。