男性の顔を見た瞬間、

美園の足が少し引いたのに気付き、

恐る恐るゆっくりと視線を美園へ向けると、

それまで穏やかだった表情は強張り

言葉を失っていた。

「美園……?」

私が確かめるように静かに声をかける。

美園の全身がみるみるうちに硬直していくのがわかる。

この男性と美園の間に、

息をするのもやっとなほど

重苦しい空気が流れているのがひしひしと感じられた。