「じゃあさ。

 夏休みに入ったら羽衣ん家泊まっちゃおうよ。」

美園が名案といわんばかりに声高らかに宣言する。

「ちょ、ちょっと美園。まだ泊まれるかは……」

突然の迷案に私は戸惑いを隠せず返事に困っていると、

いつの間にか私の真後ろに移動していた大志に

両肩をがっしりと掴まれながら、

「じゃ、今日帰ったら親に話してみてよ。

 それからでも遅くないし、な。」

と不器用なウインクをしながら言った。

「ヨウ君とも今まで会えなかった分、

 たっぷり遊びたいし。」

美園もまたさりげなくウインクしながら言う。

そんな2人に押し切られるような形で

私はゆっくり頷いた。

「ん、じゃ帰ったら訊いてみるよ。」

私のこたえに美園と大志は満足そうににっこり笑った。