「せっかくおごってもらうんだし、

 ここはやっぱりダブルっしょ。」

美園の言葉を全く気にせず、

イタズラな笑顔を見せながら大志が言うと、

美園は無言で大志のわき腹に手を突き刺した。

「イッテーな。」

「大志のばーか。」

言葉ではそんなことを言っているけれど、

美園も大志もすごく楽しそうにケタケタ笑い合っている。

2人のそんな姿に、私も思わずにっこり笑ってしまう。

「じゃ、私はモカで。」

私がそう頼むと、じゃれ合う2人からほぼ同時に、

「羽衣、オトナー。」

と言われた。

そんな2人に向かって、

私は照れを隠すように少しだけ下を出す。

「俺、牛乳。」

雅也は相変わらずそれしか頼まない。

せっかく種類が豊富にあるのだから、

少しは冒険してもいいと思うんだけれど。

「最後に私ね。んー、じゃあマンゴーで。」

店員さんから

それぞれソフトクリームを受け取った私たちは、

店の奥にあるいつものテーブル席へと移動した。