「今日は私のおごりだからね。

 みんな、好きなの頼んじゃって。」

放課後、

私たちの馴染みのソフトクリーム屋

『CANDY』のショーケース前で、

美園は笑顔でそう宣言した。

今日は生憎の天気だからか、

店内は私たちでほぼ貸しきり状態だ。

こういうお店はやっぱり天候に左右されやすいようだ。

まぁ、私たちは天気とは無関係なんだけれど。

「俺、チョコとナッツのダブルで!」

大志が大声で店員さんに声を掛ける。

それを訊いた美園がすかさず、

「ちょっと大志。

 私、確かに“おごる”って言ったけどさ、

 “ダブルOK”なんて一言も言ってないんだけど。」

と少し頬を膨らませながら言った。