美園の視線が一瞬だけ大志に向けられたかと思うと、

すぐにまた遠くを見つめ始める。

「ううん。何でもない。」

掴みきれない美園の反応に、大志は大きく息を吐くと、

「……何かあったら、俺に言えよ。」

と呟いた。

美園はぼうっとしながらもこくんと頷く。

今日の美園は、どこかおかしい。

でも、そんな美園はこの瞬間を境に

パッと元の明るさを取り戻した。

ふわりと宙に浮いていた目も、やっと焦点が合う。

「ゴメンゴメン。おはよ、羽衣。」

にっこりと笑う美園に

私は少し戸惑いながら微笑み返した。