〝何も悪くない〟



俺はその言葉にずっと、苦しめられた。



俺には母さんしかいなかった。



なのに結局何も知らずに母さんを苦しめていた。



そして気づいたら夜の街に出るようになってきた。



自分へと怒りと罪悪感を紛らわせるために。



荒れすぎていた俺を拾ってくれたのが海さんで今に至る、と言う訳だ。




『玲………私はいなくならないよ。絶対に。約束する。だからそんな苦しそうな顔しないで……泣きたいときは泣いていいんだよ』


 
希依のその言葉で俺のなにかがプツリと切れた。



「きー、きー、うわぁぁぁあん」



それから俺は狂ったように泣き続けた。