「…さて、行きますか」


といってすぐ止まる。


…パーカーどうしよ。

昨日のことを振りかえったら、着て行った方がいいと思う。

私の正体、もうばれたんだし。

でも、それだったら着ていかなくてもいよね。



――あれ?

私、なんでこのパーカー着てたんだっけ?

う~ん?


「…まぁ、いっか」

あってもなくても、死ぬわけじゃないんだし。


靴をはく。



「…いってきま~す」


小さく呟いてみる。


もちろん、今ここには私しかいない。

冷めきった部屋から返事がかえってくるわけがなかった。


無駄だとわかってても言ったのは、ちょっと想像してみたかったから。

返事がかえってきて、どんな気持ちがするのか。

私には経験の無いことだから、ちょっとだけ気になった。


一人じゃ出来ないことだから、私は知らない。


家族がいない私には、出来ないこと。





(…もし、『仲間』がいたら…)


返ってくるのだろうか。






「…はは、ナイナイ。まずたかが仲間にそんなこと言わないでしょ」

あーバカなこと考えた。

できないこと考えても意味無いじゃん。


「よし、行こっと」


私はドアを開けて外に出た。


朝日が私を照らした。

一瞬目を細目ながらも、私は前を向いた。


(…銀狼の待ち伏せとか、無いよね?)


周囲を警戒しながら、私は学校に行った。