耳をあててじっと静かにする。
動機が激しくなっていくのを感じた。
「てか、まだ目ぇ覚めねぇの?アイツ」
声はやっぱり、扉の向こう側から聞こえてくる。
この声…間違いない、旧校舎の音楽室であった、あのオレンジの髪の子だ。
私と同じ『小さめ』で、女よりかわいい男!
アイツらと一緒にいたから、きっと銀狼に所属してる。
(…ナンデココニイルンデスカ)
「さっき様子見に行ったけど、まだ眠ってたわ」
?誰だろ、この声…。
な、なんとなく美人香が…!
「私も見に行きましたよ~寝てました」
これは、あの猫目の美女ね。
よかった、逃げ出せてて。
でも、彼女がいるってことは、やっぱりここは…。
「それに、ちょっとうなされてました」
「!?」
は、はい!?
ウソウソ、うなされてたって…マジで?
…もしや、あの夢のせい?
見られたんだ…ハッッズ!
てか報告しなくていいし!
「うなされてたって?」
…これはアオイ、かな?
爽やかな声だけど、ちょっと警戒してる?
「怖い夢でも見てんじゃねーの」
ぶっきらぼうにいったのはレン。
ブスッとした顔が目に浮かぶ。
不機嫌丸出しの声だ。
私に負けたこと、まだ根にもってるのかな。
悪いことしちゃったなぁ、彼のプライドボロボロだよね。
「それだけにしては、ちょっと異常っていいますか。なんというか…」
「普通の夢で、あんなにはうなされないと思うわ」
「そんなにうなされてたのか!?」
「うん」
…どうしよ…。
すっっごい恥ずかしい!