ガバッと身体を起こす。

「いっ」

背中が悲鳴をあげた。

思わず声が出る。


(…そうだ、私殴られて、それで背中から…)


そう、そうだ。

全部思い出した。

私、気を失ったんだ!


やっと頭のエンジンがかかった。

寝起きだからまだ回転は遅い。


「………」

自分の姿を見下ろす。

…良かった、ちゃんと制服だ。

どこも汚れてないのは、とりあえず今はスルーしよう。


…ベッドで寝てたってことは、誰かがここまで運んでくれたってこと、だよね。


てか

「…どこ?ここ」

あたりをみわたす。


…当たり前だけど、知らない部屋。


広い部屋だ。

色は黒と白のモノトーンで統一してあって、落ち着きがあった。


少しはなれた壁に、写真があった。

流石に知らない人の部屋にある写真は、見ちゃいけないような気がする…。

好奇心をグッと抑えて、写真からめをそらした。


「窓は……」

あった。

ベッドの近くに小さい窓と、もうひとつ、大きめの窓。


とりあえず、近かった小さな窓から外を覗いてみた。


そこは建物の裏らしく、駐車場や道路はなく、河原があった。

川の向こう側には街がある。

あの高いビルがあるってことは、私が倒れた街だ。

…てことは?



「ここ、うちの近所だったり?」


しちゃう、のかな?