首をかしげた私を見て、先生の眉間に一瞬だけ、本当に一瞬だけシワがよった。

そして、腰に手をあて、頭にも手をあて、ハーーーッと長いため息をついた。

「…僕、そんなにあからさまだったかなぁ」

とかブツブツ言ってるのが聞こえる。

早くしてくれないかな~、頭痛まだ治ってないんだよね。


数分後、先生は決心したかのように私を見た。

結構待たせやがって…くだらない事だったら殴ってやろう、おもいっきり。


先生はじっと私を見ると、口を開いた。



「君は、僕と真昼の関係に――」


「!!!」


直ぐに察しがついた。

先生が何を聞きたがっているのか、瞬時に理解することができた。


「ストップです、先生」


だから止めさせた。

殴るのは止めよう、聞きたくなるのは仕方ないもんね。

自分にも、自分の大切な人にも関わることだしね。


「??」

先生は、なんで止められたのか、イマイチよくわかってない様子だった。




「――みなまでゆうな」




私は唇の前に指をたてて、ニコッと笑って見せた。


「!!」

目を見開いて私を見る先生に、思わず笑いが込み上げてきた。

そこまで驚かなくても…。

こう見えて、真昼には意外と信頼されてるんだけどなぁ。


ポカンと、ほぼ放心状態の先生に向かって、もう一度微笑んだ。

今度は、イタズラっぽく。


「誰かに聞かれちゃマズイでしょ?」


では、とクルッと背を向けて、今度こそ保健室を出た。