「――スミマセンでした、ご迷惑をおかけしてしまって…」
ペコッと頭を下げると、クスッと笑い声が降ってきた。
「仕事だしね、これくらいどうってことないよ」
頭をあげると、私の目線より上の方に先生の笑顔があった。
…以外と背、高いよね。
………チッ。
「…」
「ん?どうかしたかい?」
「…いえ」
縮んでしまえ!
「あ、真昼によろしくと言っておいてもらってもいいですか?」
「ハハ、君も面倒な係を僕に押し付けるね」
君も?
誰と比べられたんだろ。
ま、いっか。
「スミマセン、でも先生が一番適任かなって思ったんです」
て言ったら、違いないって笑った。
ホント、この人よく笑うなぁ。
どうすればこんな風に、素直に笑えるんだろう。
…いいなぁ。
「…じゃあ、真昼のこと、よろしくお願いします」
「うん、任せて。しっかりなだめておくから」
ニコッて笑う先生に、私は軽く会釈すると背を向けて保険室の扉に手をかけた。
「――あ、そうそう」
内心、「またか…」と呆れながらも、私は平静を装って振り向く。
「ストレスケアは入念にね。あとしっかり休むように!」
「…はい」
…それだけ?
私をじっと見る先生に向かって、ちょっと首をかしげて見せる。
「何?」と言うように。
だって、他に聞きたいことがあるような顔してる。
気づかないフリするのもいいけど、スッキリしないし。