「……」

「…さ、もう休みなさい。顔色がさっきより悪い」


私は黙って布団にもぐった。


先生に背を向ける形で。


シャッと、カーテンを閉め切る音がした。

足音がして、それもだんだんと遠退いていく。


やがて、保健室は静かになった。


私は考える。

…ここまで私を運んだ『銀狼』のことを。

一斗を殴ったレンのことを。

私を睨んだアオイのことを。

『銀狼』に勧誘しようとした猫目の美女のことを。

旧校舎で出会った不良たちのことを。

私が殴った不良たちのことを。

一斗、二斗、三斗、真昼や先生のことを。


……ズキン。

あー、頭痛い。


考えれば考えるほど、…苦しくなっていく。

頭もいたくなる。

さんざんだ。


…ちょっと寝よう。

きっと真昼が起こしてくれるだろうし。


そう思って瞼を閉じた。


でも脳裏に浮かぶのは銀狼の笑み。


瞼をもちあげる。


考えなきゃいけないこと、出さなきゃいけない答えはいっぱいあった。

でも今は、考えたくない。


それでも考えてしまう。


私は寝ることを諦めて、窓の外を眺めた。